【産後サポート】産後ケア入院をご存知ですか?ぼっこ助産院に行って来ました。

※2021年6月 追記
下記の記事は、2019年取材時のものです。
現在新型コロナ感染拡大防止のため、
ご家族揃っての産後入院等が制限されております。詳しくは施設に直接お問い合わせ下さい。

心と体が不安定な産後
いきなり赤ちゃんとふたりの生活に入ることに不安のあるママが
一定期間助産院に宿泊して、適切なケアを受けられる
「産後ケア入院」(産褥入院)という制度があります。

香川県の各自治体が行っている
産後ケア事業には、
「産後ショートステイ(宿泊型)」
「産後デイケア(通所型)」があり、
丸亀市では産後ショートステイ、つまり
産後ケア入院のみを利用の対象としています。


丸亀市の案内を見ると、
『一定期間、助産所に宿泊し、母乳管理・沐浴の仕方・赤ちゃんのお世話などについて具体的に指導を受けることができます

と書いてありますが、
授乳や沐浴など赤ちゃんのお世話の仕形を教わることだけが目的の入院では決してありません。

そして、産後すぐのママのためだけの制度でも実はないんです。

お住まいの自治体によって差はありますが、
およそ産後4ヶ月~6ヶ月のママまでを対象に、
原則7日、最長14日まで

心と体、家庭環境、様々な理由で
「誰か側にいてほしい」と思うとき
ママが安心してゆっくり過ごせるように
全力でサポートしてくれる制度なんです。


今回、香川県で唯一
産後ケア入院を受け入れている
高松市のぼっこ助産院に取材に行ってきました。


高松市春日町の新川の土手沿いをちょっと下って、住宅地に入ったところに
ぼっこ助産院はあります。
この看板が目印です。
こちらが入口。
同じ建物の中に、以前このブログでも紹介した「ほっと相談室」を実施している
香川県助産師会も入っています。
今回、急な取材依頼にも関わらず
助産師さんをはじめ、受付の職員さんまで
皆様がとても温かく迎えて下さいました。
受付には、ぼっこ助産院で生まれた赤ちゃんの年賀状や
妹や弟の出産に立ち会った、お兄ちゃんお姉ちゃんのお手紙や作文がズラリ。
まず診察室を見せて頂きました。
妊婦さん一人一人にじっくり時間をかけて
色んな角度から赤ちゃんのエコーを撮ってくれます。
上の子連れの検診でも安心なように、
診察室にはおもちゃもたくさんあります。

「やんちゃな子もいれば、よく泣く子もいる。子どもが騒いだら申し訳ないとか、ここでは一切考えなくていい」と答えてくれたのは職員さん。
ママの診察時にフォローが必要なときは、室外で子どもを抱っこしたりと必要な手助けを当たり前にして下さいます。
検診のママ達に大好評の足湯。
毎回の検診は、夏も冬も足元を温めることから始まります。
(このフットバス、その名も「冷え取り君」。笑)
診察室の扉の向かいには、0~3才児の通う小規模保育園もあります。
院内の廊下を、かわいらしい子ども達が通り過ぎます。それも当たり前の風景です。

さて、
ママが赤ちゃんと一緒に宿泊するお部屋はこちら。
大きな窓で日当たりの良い畳敷きのお部屋。
別途料金がかかりますが、
上のお子さんやパパも一緒に宿泊することが可能です。
違うお部屋も見せて頂きました。
どのお部屋も、赤ちゃんとゆったり向き合う時間を過ごすために、あえてテレビは置いてありません。
ただしDVDプレイヤーなど、必要であれば持ち込みは大丈夫です。

オムツは布オムツが用意されています。
使用済みオムツは、職員の方が手洗いと漂白をして干してくれるので、ママは汚れたら出すだけでOKです。
共同のお風呂。
ママと一緒に過ごしている上のお子さんとパパが、ワイワイ入浴している楽しげな声が聞こえてくるのも、ここではよくある風景です。
こちらはランドリー室。
滞在中の洗濯物は、係の方が洗ってくれます。
沐浴室。
ママのお部屋のすぐ側にあるのがありがたいですね。
食事は、院内の厨房で作られた栄養満点のお乳に良い食事が3食出てきます。
お乳が詰まらない食事はつまらない食事、
なんて思うなかれ。なかなかのボリュームですよ!
院内に、まさに今産後ケア入院中のママがいらしたので
少し話を聞くことができました。

「妊娠中は、生むことがゴールだと思っていた。産後がこんなにしんどいとは思ってもみなかった。」

第2子を生んで約2週間、産後ケア入院6日目のそのママは、
高松市内在住で、パパとお姉ちゃんの4人家族。
県内に実家がありますが、ご両親も高齢で体力的な面で頼れず、第1子出産後は里帰りをしたものの、世代間による育児方針の違いに逆にストレスを感じ、心休まるものではなかったそうです。
第2子出産後はすぐ産後ケア入院に入り、上のお姉ちゃんも一緒に寝泊まりしています。
朝はパパがぼっこ助産院まで迎えに来てここから保育園に通い、夕方帰ってきます。
夜はお仕事を終えたパパもぼっこ助産院に来て、家族みんなで夕食を食べます。子ども達とママはそのままお部屋で過ごし、パパは自宅に帰ります。

「おもちゃもあるし、誰かしら人もいる。上の子も寂しい思いをせず、退屈せず過ごせています」

高松市に自宅があるから可能ではありますが、
産後ケア入院中はぼっこ助産院を拠点にして、家族みんなが過ごしながら、ママの体を休めることができています。
退院後の暮らしとのギャップをあまり感じずに、家族だけの生活にスムーズに移行できる雰囲気を感じました。


助産所の眞鍋さんにもお話しをお伺いしました。

昨年、ぼっこ助産院では産後ケア入院の利用が57件、
日中だけを過ごす産後デイケアの利用が22件ありました。
利用する方の住まいは高松市に限らず、県下いろんなところからママがやって来ます。

利用する方の動機は、サポート不足と育児不安が一番多く、
母乳育児を軌道に乗せたい、ただ休息を取りたいなど様々です。
精神疾患があり睡眠不足が悪化を招くので、
夜間の育児を支えてほしいという要望もありました。

「お部屋には呼び出しボタンも付いているが、使ってもらうまでもない。赤ちゃんがずっと泣いていたら『どうしたん?』と様子を見に来る。授乳のときも側にいる。夜も不安なことがあれば話をして、一緒に過ごす。どうしてもダメな時は預かる。
扉を開けたらすぐそこに、いつでも頼れる助産師がいるという安心感が、ママの心の何よりの担保になる。」

退院後は赤ちゃんとママの生活に皆戻っていく。だからこそ、まずはゆっくり休む。食事や洗濯、授乳指導などのサポートを受けながら、安心感の中でゆったり過ごしてたくさん話をする。一人一人のその後の生活を視野に入れながら、一緒に考える。
情報が分かれば次の手が打てる。ここで過ごしてそれで終わり、では決してない。


退院していくママ達に
「なんでもいつでも言うてきなよ」
と、必ず伝える眞鍋さん。


深夜に泣きながら電話をかけてくるママもいる。
あなた夜は寝られるん?寝られたら朝こっちへおいで。
どうにもならないなら、タクシーで家まで迎えに行く。
過去にはそんなこともあったそうです。

ぼっこ助産院には、眞鍋さんだけに限らず
同じ気持ちで丁寧にママに寄り添う助産師さんが集まっています。

入院費はお住まいの市町村や個人の状況によりますが、
概ね自己負担額は1日7千円~1万円位。
ぼっこ助産院の入院にかかる全額
1日22000円の内、12000円~15000円程度が自治体から補助されます。
(産後デイケアは自己負担額3000円~5500円程度)


一泊一万円、金額だけ見たら「高い」と感じるかもしれません。
しかし、中で過ごす時間のサポートの手厚さ、助産師さん達の温かさを振り替えると
決して高くないと断言できます。


もし産後、様々な不安の中で、しんどい育児をしているママがいたら
ぜひ利用してみてほしいと思います。


数値の上での管理や
教科書通りの指導では語れない
妊娠、出産、産後の悲喜こもごもをすべて受け止めて
「子どもを生んで良かった。」と
あらためて気付かせてくれる助産師さん達が側にいます。

※産後ケア事業の内容は、各市町村によって違います。
産後ケア入院、産後デイケアどちらも補助対象にしているところと、どちらかのみが補助対象のところがあります。


※日帰りで利用する産後デイケアに関しては、ご紹介したぼっこ助産院以外にも受け入れている助産院があります。


利用についての詳細は、お住まいの市町村でお問い合わせ下さい。
(「◯◯市 産後ケア事業」と検索すると大体出てきますのでチェックしてみて下さい。)
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